🌸花組『アルカンシェル』予習
『アルカンシェル』初日まであと2週間ちょっと。居ても立っても居られないので、取り急ぎざっくり予習(考察?)💨
なぜ"パリのレビュー劇場"が舞台なのか?
〜パリのレビューを題材にすることは、宝塚歌劇と花組の歴史を追うことでもある〜
『アルカンシェル』の作品紹介を見てみると、舞台はドイツ占領下のパリ(1940年代前半)におけるレビュー劇場とある。
日本でレビューと言われるものが初めて上演されたのは、1927年。岸田辰彌作・演出の『モン・パリ』で、花組が初演した。
日本のレビューはパリからの輸入品とも言える。そもそもレビューは直訳すれば「再び見せる」ことで、『モン・パリ』はパリ帰りの岸田辰彌がパリで見聞きしたものを歌やダンスを通じて「再び見せる」という筋書きだった。
宝塚のレビューの歴史がパリから始まっているのなら、110周年の演目として『アルカンシェル』を上演するのもうなずける。
さらに、『アルカンシェル』の時代は戦時。
作品紹介には主人公マルセルについて「レビューの灯を護ろうとする」「ドイツ軍の敗色が濃厚になる中、(中略)何とかして街を護ろうと立ち上がるのだが…。」とある。
パリが解放されるのは1944年の8月。宝塚歌劇はといえば、同じ年の3月に宝塚大劇場と東京宝塚劇場を封鎖している。そして、花組はそのことにより東京宝塚劇場の舞台稽古を中止した。
『アルカンシェル』は、直接宝塚歌劇を題材にせずとも、パリのレビューを通して宝塚、そして花組の歴史を見つめることができるということで、110周年を記念する演目となりそうだ。
とはいえ、パリのレビューと宝塚のレビューは性質が異なる。パリでは主に男性向けに作られ上演されるが、宝塚のレビューは主に女性向けである。『アルカンシェル』は1本物だが、レビューシーンが多く盛り込まれているとのことなので、どのようなレビューが見られるのか今から楽しみだ。
まずは初日の幕が無事に開くことを祈る。